IRECセンター長便り ~「自動車解体業」のイメージ刷新~
自動車解体業という名称は業の実態を正確に表わしていない。「使用済み自動車の再資源化等に関する法令(自動車リサイクル法)」(2005年施行)にも、解体業という文言が使われていますが、これまでの慣例に従ったものです。「解体(Dismantling)」という用語は、単純作業によって「バラバラにする」という行為を意味します。静脈産業の中核に位置する自動車リサイクルの業はもっと多様な業態です。
使用済み自動車の場合、引き取られた一台一台状態の異なるELV(End of Life Vehicle/使用済み自動車)の状態チェック、エンジンその他の有用部品の取り出し、鉄、銅、アルミなどの金属、白金・パラジウム、金などの希少金属、バッテリー、プラスチック類、タイヤなどを精緻に分別し、さらに基盤類などはストックします。
今日では「ELVはゴミではなく、有用な地上資源である。」というのが社会通念となっています。それがサーマルを含めてリサイクル率は95%の3R(Reduce Reuse Recycle)の実績となっています。つまり、平均1,1tの車の最終埋立て処分量は約55㎏まで減量されています。これを実現するためには相当高度な技術と知識を要します。単純な作業労働ではなく分業化された技能労働と見るのが正しいでしょう。まさに資源再生産業、環境創造産業です。そのために、会宝産業に隣接する敷地にIREC(International Recycling Education Center/国際リサイクル教育センター)が設立されました。
会宝産業ではパーツは国内用と輸出用に区別され、それぞれはバーコードで管理されます。リサイクル金属類は、相場の先行きを注視しながら慎重に出荷先や時期が決定されます。単に金属類を取ってスクラップするという時代ではありません。まさに、3Kは昔のイメージで、今は生産から出庫まで一貫管理されています。それだけではなく、中古エンジン品質規格の国際標準を創って、JIS(Japan Industrial Standard)に対応するJRS(Japan Reuse Standard)も開発されています。したがって自動車解体という言葉は作業の一部工程を表すに過ぎませんが、適切な日本語が見当たらないので、当面は「自動車リサイクル業」と呼ぶのが良いでしょう。
8月21日(日)「会宝リサイクルまつり」が開かれました。お客様に直接自動車リサイクル業を知って頂くという大変先進的な取り組みです。第1回目ということで、短期間ではありましたが全社挙げて取り組み、お蔭様で開場の10:00前からお客様が途切れることなく、17:00の終了までに来場者総数1,779名に達しました。
この人たちがダイナミックで緻密な動きをするニブラでの「自動車解体ショー」や整然と並んだ輸出用エンジンを見たとき、これまでの「自動車解体業」のイメージとは違った何か新しい発見をしたことでしょう。